これは、古事記の中で倭建命(やまとたけるのみこと)が国を偲んで詠んだ和歌として知られていますが、このように「まほろば」とは、素晴らしく、住みやすい場所といった意味で使われています。
そして今、我々の生活は、科学の進歩や経済の発展などにより、物質的にはとても豊かになりました。
しかしその一方で、格差社会の拡大、地球温暖化による異常気象や自然災害の多発、戦争や紛争による大国同士の覇権争いの激化など、我々が抱える問題は多岐に亘り、また複雑化しています。
これはひとえに現代に生きる人々が伝統や文化などの精神(こころ)をおろそかにしてきた結果とも言えます。
「物で栄えて心で滅びる...」。『心のまほろば』を説かれた故高田好胤管長が、現代の日本人に対して五十年前に警鐘を鳴らしたお言葉です。
『心のまほろば』は、自然と共に生き、精神的な豊かさ、相互扶助の心によって実現されるものだと考えます。
今こそ、古(いにしえ)より育まれた日本人の豊かで温かい心を取り戻し、これからの時代を担う人々のために一人一人が意識を高め、住みよい社会、持続可能な世の中にしていかなければなりません。
わが国が真の意味で、『世界のまほろば』になれるよう、皆様のご賛同、ご理解をお願い致します。